目標設定

SMARTは間違っている?有効な目標設定の仕方

目標設定をしたけど、現実が変わらなかったり、モチベーションが出なかったりしたことはありませんか?そうした経験から、本当に効果のある目標設定をしたいと考える方もいると思います。どのようにしたら、高いモチベーションを保って、現実を変えられるような目標設定ができるでしょうか?

従来の目標設定法にSMARTという方法があります。よく言われる目標設定のやり方は、SMARTがベースになっている場合が多いようです。

しかし、SMARTは有効かもしれませんが、これだけでは足りません。もう一歩踏み込んで、目標を作った方が良いのです。

SMARTはどんな目標設定法か

SMARTとはなんでしょうか。これはジョージ・ドランという人が定義した目標設定の方法です。様々な解釈や単語の当てはめがなされていますが、概ねこのように捉えられています。

Specific:具体的、特定の範囲に絞る
Measurable:数字で測れる。指標がある。
Achievable:現実的で達成可能
Relevant:経営目標などの上位の目標と関連している
Time-related:期限がある

これらの頭文字をとってSMARTというわけです。これは、ビジネスの世界では広く用いられている手法のようです。あなたも、ビジネスシーンや、会社などで、こうした目標設定法を見聞きしたことがあるかもしれません。

具体的で、数字で測れて、現実的で、期限があって、上位の目標と関連している、これがSMARTです。

SMARTで目標設定する問題点

ではこのSMARTだけで目標設定が完結するのでしょうか?実は、これだけでは足りないのです。高いモチベーションを持って現実を変えていくためには、あるステップが必要となります。それが、「現状の外の方向性を決める」ということです。コーチングにおいては「ゴール設定」と呼ばれます。言ってみれば大きな目標のことです。SMARTだけで目標設定をしようとすると無理があるのです。

Relevantを無視してはいけない

会社の元で働くビジネスマンであれば、会社の経営目標があり、そこに合わせて関係のある目標を立てれば良いです。しかしこれが、経営者やリーダー、個人の人生になると、まず「方向性」を決めなければ、目標自体を作ることができません。

誰であっても、その個人の人生は、それぞれが主役です。だから、自分で方向性を決めなければいけません。経営者やリーダーであれば、組織の向かう方向を決めるのが仕事になります。

もし、その方向性の部分で、SMARTの他の部分を利用しようとすれば、問題が生じます。どのような問題があるか、解説していきます。

大まかに言えば、「現状維持になりやすい」ということです。本来は現実を変え、イノベーション、自己実現、夢を達成したいにも関わらず、反対に目標設定をすることによって、現実により一層縛られることになります。

現状維持になりやすい

残りの項目、具体的で、数字で測れて、達成可能で、期限がある、という項目を一言でまとめれば、「もうすでに知っていること」ということです。ある人が、この通りに目標設定すると例えば「TOEICを3か月で50点あげる」というふうになります。

この時、その人の頭の中には新しい要素が入ってきません。達成方法も勉強法もわかっているでしょう。だからこそ、具体的に期限までつけることができるのです。

こうした目標設定をしても、「知っている範囲内で理想的になる」ことはできても、いやそれだからこそ革新を起こすことができないのです。

新しい現実を作るためには、SMARTの前に、1つのステップを入れる必要があります。それが「ゴール設定」です。

正しい目標設定の手順

目標設定は2段階に分けてください。2段階とは、

・ゴールを設定すること
・ゴールから逆算して今あるべき姿を設定すること

です。
SMARTを利用場合であれば、ゴール設定をした後、ゴールから逆算して、「Relevant=関連した」目標を立てます。つまり、ゴールに必要なこと、合致したことを目標とするのです。

ゴールの2つの条件を満たす

ではゴール設定とはなんでしょうか?

ゴール設定には2つの条件があります。

それは、

・現状の外側であること
・やりたいことであること

です。

現状の外側とは何か

現状の外側とは何でしょうか。まず「現状」から定義します。現状とは、今まさに自分が知っている範囲のことで、これは、過去から現在までの延長線上の未来も含みます。例えば、会計士の資格の勉強をしているとしたら、資格を取ることは現状になります。なぜなら、勉強をすることで、点数は上がっていくからです。もちろん、確率が低いものもありますが、受かる可能性はあります。

それに対して、現状の外側は、構造的に、今のままでは実現できない世界のことを言います。会計士の勉強をしている人は、そのままでは医師にはなれません。医師になるには、医学部に入らなければならないからです。このように構造的に障壁があるものを現状の外側と言います。

現状の外側にゴールを設定することで、自分自身や組織に対してイノベーションを起こすことができるようになります。直線的に、業績を上げるとか、点数を上げるというのでは、それはできないのです。

ゴールは抽象的で良い

現状の外側にゴールを設定しようとすると、具体的に設定できないことがあります。それは、今自分が見えていない範囲に行こうとするからで、良いことです。

実はゴールは言葉にできなくても良いし、例えば「世界を驚かせるサービス」のような抽象的なもので良いのです。そうすることで、自分がわかっている範囲から、抜け出すことができます。

達成不可能な非現実的なゴールにする

また、ゴールは達成不可能で良いのです。達成方法がわかっているということは、まだ自分が知っている範囲のことをやろうとしているのを意味します。それではいつまでも、現状維持が続くだけです。達成方法がわからない、非現実的なものこそがゴールにふさわしいのです。

やりたいことである必要性

そして、ゴールはやりたいことである必要があります。SMARTだけでは、やりたいことでなくても目標になりますが、そうすると、モチベーションが上がらないという問題が起きます。

モチベーションを上げるために一番良い方法は、やりたいことをやることです。嫌だけど仕方ないからやろう、と思っていたら、様々なモチベーションアップ法を試しても、穴の空いたバケツに水を入れるようなものです。そうではなくて自然とやる気が湧き出てくるようなゴールが望ましいということです。

目標設定はゴールから逆算する

以上の2つの条件を満たしたゴールを設定したら、そこから逆算して、具体的な目標を立てることができます。この際SMARTを使うことも可能です。

例えば、「世の中の仕組みを変えるようなシステムを作りたい」と思ったら、そこから見て現在あるべき自分の姿を想像してみます。そうしたら、少なくともイノベーティブな人材が必要だとか、新しい会社を設立しようという、逆算したプロセスがわかります。

大きな方向性であるゴールを決めて、そこから逆算した現在あるべき姿を明確にする。そして、ゴールを目指しつつも、現在のことに集中することで、大きな変革を成し遂げることができるようになります。

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