「光と影の法則」は人生もビジネスも減速させる
光があると影がある、という感じで、良いことがあると、同じだけ悪いことが起こると言われることがあります。うまくいった人は、後で必ずしっぺ返しがあるということです。一見もっともらしい説です。
お金持ちは不幸になるとか、悪い事をしていると考えている人がいます。テレビなどでは、喜んでそういう考えを広めています。これも光と影です。しかし、そうしたマインドを持っていると、ビジネスがうまくいきません。
光と影のこの法則は、実は間違っているのです。人生においても、ビジネスにおいても、こうした考えを取らない方が良いです。なぜなら、良いことがあったら、必ず悪いことが起こるなら、良いことは控え目にしたいと無意識で思ってしまうからです。
ビジネスもうまくいきすぎると良くない、ということで、自分が「まあこれくらいだろう」という範囲から出ることができません。「サラリーマンの年収くらいなら、バチが当たらない」と思ってしまいます。
良いことは増幅する
本当のところはどうかというと、良いことがあるとどんどん良いことがある、という循環があります。例えば、お金が増えていったら、それがさらにお金を呼んできます。
お金ができると、時間や気持ちに余裕ができるので、よりビジネスや生活も安定していきます。余ったお金で時間を買ったり、自己投資や金融で大きくすることができるので、またうまくいきます。
以前、ピケティという人が、資産運用の利益は、常に、労働の利益より大きいという理論を発表して話題になりました。資産家と、労働者の格差はどんどん広がっていくということです。
これが世の中の事実なので、やはりお金があるとどんどんお金が増えていきます。お金が光だとしたら、光は増える一方なのです。
労働者の方も、年々生活レベルは上がっていて、比較的貧しい国の人でもスマホを持っています。アジアでも、日本人レベルの生活以上だったり、かなり近いものになっています。全体的には、豊かになっているのです。
こんなふうに、良いことは増幅します。
光が増幅しても、影は増幅しない
お金持ちが不幸になるとか、悪いことをしている、というような考え方は、すごく狭い考え方です。宇宙は広いのに、自分が見える範囲のことしか考えないと、そういう考えになってしまいます。
お金持ちになると不幸になる、というわけではありません。お金持ちが不幸になる、というのは、労働者向けのガス抜きのようなものです。お金持ちで転落したり、不運が起こることもあります。そういうことがあると、喜んで貧乏マインドの人が飛びつきます。
そして、やっぱり良いことがあると、悪いことが起こるとか、光と影というふうに安心し、自分は今のままでいようと思ってしまいます。今のままでいたいので、そう考えるとも言えます。
実際には、良い商品であれば、たくさんの人が喜ぶのですから、どんどんうまくいけばいいのです。しかし、自分で限界を決めてしまって、平均年収くらい、と思っていたら、ビジネスがうまくいかなかったり、労働者に留まろうと思ってしまいます。
日本人は、世界でもトップクラスに豊かで、年収が高いです。ほとんどの人が気づいていないですが、今のところ世界ではお金持ちです。だから、外国のものを安く買えるし、良いものが簡単に手に入ります。
では日本人が、世界でトップクラスに不幸かというと、そんなことはありません。もしそう思うなら、もっと貧しくて、戦争がある国に移住すればいいのですが、ほとんどの人はそんなことはしません。
逆も同じです。光と影の法則が本当なら、悪いことが起こったら良いことが起こるはずです。それならば、悪いことをどんどん起こせば良いのですが、誰もしようとは思いません。サラ金で借金をしたら、どんどん膨らんでいくだけです。
お金持ちや、うまくいっている人を見てどうこう言うのは、狭い範囲で比較しているに過ぎないのです。
「光と影」と決めているのは人間の勝手
そもそも、幸せや不幸、光と影、と決めているのは、人間の勝手です。お金はたいていの人が好きなので、幸せや光と言うこともできますが、本当はお金はお金、というだけです。
お金にどんなイメージをつけるかは、その人次第で、お金が良いものという人もいれば、悪いものという人もいます。また、お金は良いものなので、影である悪いことが付いてくる、とイメージしている人もいるし、逆の人もいます。
良いものだと思えば、お金が入ってくると嬉しいし、ありがたいという気持ちになるでしょう。悪いものだと思ったら、お金が怖くなって、ビジネスにはなりません。
コーチングで何十万円というコースを売るときにも、怖くなるので、オファーできなくなります。無意識で、お金は悪いものだから欲しくない、と拒否してしまっているのです。
また光は良いもので、影は悪いものと決めているのは自分の心です。真夏に木陰があったら、涼しくていいでしょう。影は良いものだと言えます。せっかくなら、光も影も良いものだと考えていた方がいいです。
人は、自分が思っているように世界を捉えてしまいます。光と影の法則を信じていると、脳は良いことがあると、悪いことを探し出してしまいます。
引き寄せの法則、ということもできますが、そういうマインドを持っていると、本当にそれにあった現実を自分で作ってしまうのです。うまくいった分だけ、悪いことを探す、そのマインドがすでに不幸です。
光と影の法則は、ホメオスタシスの問題
光と影の法則は、実は、ホメオスタシスの性質なのです。ホメオスタシスは、自分が居心地がいい範囲であるコンフォートゾーンに留まろうという心の働きです。
テストでいつも50点か取れない人が、いきなり100点を取っても、ホメオスタシスが働いて、次のテストは30点を取ります。そうやって、コンフォートゾーンに合わせようとするのです。
貧乏人から見たら、お金持ちはコンフォートゾーンではありません。そうすると、ホメオスタシスが働いて、お金持ちが悪いことにして安心しようとするのです。
また、労働者が資産家になると想像するだけでも、ホメオスタシスが働いて、悪いことが起こる気がしてきます。人生がうまくいっても、うまくいくのがおかしいと思っていたら、悪いことを探してトントンにしてしまいます。
うまくいっているのが普通の人は、光とか影とか考えません。普通の日常だな、と思うでしょう。日本人が世界ではお金持ちという話をしましたが、日本人にとっては日常なので誰も気づきません。光とも影とも思わないのです。
光と影の法則の正体は、こうしたホメオスタシスのことです。コンフォートゾーンを高くしていけば、当たり前にお金を持ったり、当たり前にビジネスが安定する、ということが起こります。
私はコーチングで、マインドセットを整えて、ブレーキを外して、コンフォートゾーンを上げていきます。コンフォートゾーンが上がると、そこに行きたい、というホメオスタシスが働いて、ワクワクしたり、やる気が出てきます。
光と影の法則を気にしなくていい
人間は、一人がいくら頑張ったとしても、地球の空気を汚すこともできません。それくらい地球は大きいのです。さらに宇宙はもっと大きいです。
ホメオスタシスが正体である「光と影の法則」は、小さな人間が勝手に考えていることに過ぎません。光と影という、宇宙の法則はあるかもしれませんが、なぜそれが人間の見える範囲で起こると言えるのでしょうか。
時間も空間も、無限のようにあります。何年という単位で、ほんの身の回りで完結する、と考える方がおかしいのです。
ビジネスをやる上では、そんなことは考えなくていいです。それはブレーキになってしまいます。それよりも、ビジネスの法則やマインドセットを身につけて、売れる商品を作ることを考えましょう。