コーチングは何度も受けてもらう
コーチング業界では、コーチングは一回受けたら卒業だとか、何回も受けるのは依存なのでよくない、と一部で言われています。
コーチは、1回受けたら、依存しないように、もう受けなくて良いとしている人もいるのですが、果たしてそれで良いでしょうか?
また、何度もコーチングを受けることは、依存で悪いことでしょうか?
コーチングで「自立」は宗教
コーチングでこう言うことがいわれているのは、「自分たちのコーチングが完全である」と言いたいからです。完全なので、1回受けたらもう受ける必要がないという事です。
例えば、月1回6か月のコーチングを受けたら、クライアントは自立できているので、もうコーチは必要ない、全て教えたという事になります。それ以上コーチングを受けるというのは、「依存」というわけです。
これは宗教です。私もこう言う団体を知っていますが、結局コーチングを受けた人たちは、また他のコーチのところに行ってまたコーチングを受けています。
団体の側は、コーチングは完全無欠だと言いたいのですが、結果を見ればクライアントはまだコーチを必要としているのです。
それが依存だ、というなら、クライアントが別のコーチのところに行った時点で依存で、自立していないので、コーチングに失敗していると言えます。
ただ、そうした事実には目をふさいで、自分たちの教えが正しい、として、一回で全て完結です、と言いたいわけです。自分たちのコーチングが完璧で、本物、1回で一生受けなくていい、他の団体は全部偽物だ、という宗教になっています。
依存、自立よりもゴールが大事
依存とか、自立とかは、クライアントのゴールよりも、コーチングの完全さを求めています。コーチングは完全ということにしたいので、一回で自立、となっているのです。
何回も受けてください、というと、コーチングが完全ではないことになるから、一回で終わり「ということにしています」。そうすることで、コーチングの宗教が完成するわけです。
しかし、コーチングは、どこまでいっても完全ではありません。常に新しいコーチングが生まれて、科学も進歩しています。心理学も、新しいパラダイムが出てくるでしょう。
「自立」という考え自体が変なのですが、もし、完全で、6か月で絶対「自立」できる、というのなら、コーチングをアップデートする必要がありません。
結局こうしたことは、コーチや団体側の都合でしかないわけです。もちろん、決まった回数の中で成果を出す、という考えは大切ですが、短期間で完結する目標ばかりではありません。
コーチングの手法にやたらとこだわる前に、コーチングではゴール達成の方が大切です。クライアントのゴールが少しでも近づくように、サポートするのです。
その時に、依存とか、自立とか言って、スタイルばかりにこだわるのは、クライアントのゴールの方を見れていない証拠です。
もちろん、クライアントが自分の頭で考えられるようにするのは大切なことですが、自分の考えというのはどうしても限界があります。
それは、自分のことは自分ではわからないからです。人から見てもらわないと、盲点があるので、うまくいきません。コーチングを6回くらい受けたからと言って、簡単に自分で自分をコーチングできるわけではないのです。
私は、催眠術をしていますが、催眠術でも一番難しいのは自己催眠です。人からかけてもらう催眠術は、すぐにかなり深いところまで行きますが、自分で自分に暗示を入れるとなると、結構練習がいります。
例えば、自分で、自分の名前を忘れる、という暗示をかけるのは不可能に近いです。しかし、他者催眠だと、早い人は1回のセッションでそこまで行きます。
自分で自分のことを書き換えようと思っても、自分で気づいてしまうので、難しいわけです。これはコーチングも同じで、自分のマインドとか無意識は、セルフコーチングでそんなに簡単に変わりません。
つまり、クライアントは自分だけでゴールを目指すよりも、コーチについて、どんどん自分を変えてもらって行った方がゴール達成が早いのです。
自立、依存は言い訳
コーチではなく、クライアントが、自立とか依存と言い出したとしたら、「コーチングの教え」の影響を受けています。その考えは外してもらった方が早く成長ができます。
ただそれだけではなくて、本当の問題は、クライアントがゴールを目指してなかったり、言い訳していることです。
ゴールを本当に達成したいなら、自立とか依存とかは、どっちでもいいのです。スポーツ選手が、このコーチにお願いしたら、夢だったオリンピックに行けるかもしれない、となったら、何としてもお願いするでしょう。
そこで、それは依存なので、と言って、一人でやる人はいないわけです。そうだとしたら、本当にゴールを目指していないのです。ゴールより、自立、依存が大事になっているからです。
依存してゴールが叶うのなら、思いっきり依存すればいいですよね。ゴールにとって一番いい選択を取るのが当然です。
クライアントがそういうことを言い出したら、ゴールを本当に目指しているのか聞いてみてください。
ゴールは一人でやることではない
自立と言っている人は、ゴールを一人で達成できると思っています。誰にも頼らない、自分だけの力でなんでもできると思ってしまっているわけです。
しかし、それは無人島だったらいいかもしれませんが、人間は社会の中で生きています。どのみち、一人でというのはありえないわけです。
現代では、人に会わなくても、いろんなものが手に入ります。会ってもほとんど会話しないで生存できます。そのうちほとんどのものがAIとかロボットになるでしょう。
そんな状況なので、一人でなんでもできる、と錯覚しやすくなっています。本当は、ロボットや、ウェブシステム、AIなどを作って支えている人たちがいるので、一人ではありません。
これは、自己責任の勘違いとよく似ています。自己責任は、なんでも一人でやることだと思われることがあるのですが、これは間違いです。
人に頼ることも、自己責任です。要は、自己責任とは、自分で人生を選択しましょう、ということです。自立というと、一人でなんでもやる、という意味があるので、正しい自己責任の方を教えた方がいいでしょう。
コーチングが、一人でなんでもやりましょう、という意味で「自立」させるものだったら、そのコーチングは最初から失敗しています。
自分で選択した結果、思いっきり誰かに依存しても、それがゴールのためになるなら全然いいわけです。いろんな人にお願いしまくっても何の問題もありません。
むしろ、そうやって人の力を借りられる人の方がうまくいきます。一人の力でできることは限られていて、他人の力はもっと膨大だからです。
私たちが、自給自足せずにスーパーで食べ物を買えるのも、たくさんの人の支えがあるからですね。そういうのが、見えにくくなっているのですが、人の支えがあるから、私たちはいろんなことができるのです。
だから、他人の力に感謝して、頼らせてもらう、という考え方が大切です。そうしたら、大きな力を手に入れることができ、ゴール達成が早くなるのです。
私がよく言っている「謙虚」や「感謝」です。これは精神論ではなくて、自分以外のものの力を借りるほうがどう考えてもうまくいくから、こう言っているのです。
コーチとクライアントの関係同じで、クライアントはコーチに頼っています。その方がゴール達成できるからです。
どのみち、コーチの側が「自立です」と言っても、クライアントはコーチングを必要としていたら、他のコーチに頼みます。コーチングの都合より、自分の人生の方が大事だからです。
それを洗脳して、コーチングは受けるな、とするよりも、せっかく信頼してくれているのだから、コーチはまたコーチングしてあげればいいのではないですか?
コーチ自身も、どんどんレベルアップして、クライアントをどんどん成長させてあげてください。