スコトーマをコントロールして勉強やビジネスに使う
スコトーマとは「心理的盲点」のことです。盲点なので、外したほうがいい、と持っている方も多いでしょう。しかし、スコトーマを外すだけではなく、コントロールして使うことができるのです。
スコトーマを外し、逆に使うことで勉強やビジネスなどにも活用することができます。その考え方や方法について解説していきます。
スコトーマは外すだけではない
スコトーマを外す、ということはよく言われています。スコトーマとは心理的盲点のことなので、ないほうがいい感じがします。
例えば、やりたいことがない、ゴールが見つからない、という人は、それらがスコトーマの中に隠れてしまっているからです。だから、この場合は、スコトーマを外したら、やりたいことやゴールが見つかるので、「外したほうがいい」となります。
また、ゴールを設定したけど、達成方法が見えてこない、という場合も、達成方法はスコトーマに隠れています。だから見つけられないのです。この場合も、スコトーマを外したほうがいい、となるでしょう。
このようにスコトーマを外すことは、コーチングの中でもとても重要なことです。
しかし、スコトーマは外せばいい、というわけではありません。
まず、スコトーマを完全に外すことはできません。人間が生きている以上、必ずスコトーマがあるのです。例えば、貧乏な人がお金持ちになったとします。これはスコトーマが外れて、お金の稼ぎ方がわかったからです。
すると、今度は貧乏な人のことがスコトーマに隠れるようになります。だんだんと感覚もずれてきます。会社員だった人が独立すると、会社員のことがよくわからなくなってきます。
このように、スコトーマというのは、どうしても生じてしまうものです。これは、スコトーマがないと、人間は生きていけない、頭がパンクしてしまう、という理由があります。
スコトーマが完全にない状態、というのはないですが、もしそうなると、目の前の人誰だかわからない、ということになります。これは何々さん、とわかるということは、他のものと区別している、ということです。
しかしスコトーマがなくなると、区別がつかなくなります。情報が捨てられないので、境界線がわからなくなります。こんな感じなので、生きてはいけなくなるのです。
脳の処理能力にも限界があります。スコトーマを持っておかないと、なんでもかんでも頭の中に入ってきて、追いつかなくなるのです。
カクテルパーティー効果と言って、大勢の人がいるときでも、自分と話している人の声はよく聞こえます。そして雑音は聞こえなくなります。これもスコトーマがあるからで、全部の人の話を聞くことはできません。聖徳太子でも同時に聞くのは10人なのです。
スコトーマを外すことは大事ですが、スコトーマを作ることも大切です。
スコトーマを利用する
ではスコトーマをどう利用したらいいかというと、情報を捨てるために利用します。言い方を変えると、集中する、ということです。
100M走の選手は、ピストルの音と、ゴールまでの道のりに集中していますね。そうでなくては、勝てないでしょう。ピストルの音ではなくて、競技会場内の雑談に気を取られていたら、出遅れてしまいます。
また、ゴールまでのコース以外のものに気を取られていたら、曲がってしまったり、どこかへ行ってしまうでしょう。まっすぐにゴールを見て、他のものがスコトーマになっていないといけません。
もうお分かりになるかと思いますが、ゴール達成においても同じことが言えます。ゴール達成に集中していないと、ゴールは達成できない、ということです。だから、あえてスコトーマを作って、集中ことが大切なのです。
ゴールに関しては、スコトーマの2つの使い方があります。
1つ目は、スコトーマを外すことで、可能性を広げること
2つ目は、スコトーマを作ることで、集中することです。
スコトーマを外すことで、可能性を広げるというのは、スコトーマを外して新しい情報を手に入れるということです。それは、新しいゴールであったり、新しい達成方法であったりします。
今周りを見渡してみて、青いものを探してみてください……
よろしいでしょうか。
ではその中で、赤いものはいくつありましたか?赤いものは、スコトーマになっているので、あまり思い出せないはずです。ではもう一度見渡してみてください。
すると、赤いものがたくさん目に飛び込んできたでしょう。このように、見方を変えることで、同じ現実を目の前にしているようでも、新情報が入ってくるのです。
スコトーマを外すというのは、見方を変えるということです。これによって、ゴールの達成方法が見えたり、新しい可能性が生まれたりします。
スコトーマを作ることで集中する、というのは、あえて集中するということです。1つは、コンフォートゾーンです。コンフォートゾーンというのは、ゴールから見て、今あるべき自分の姿のことです。
コンフォートゾーンを決めるときというのは、ゴールよりも明確に決めます。どんな生活をしているのか、年収はいくら、家族構成、住んでいる場所は、など明確に決めるのがコンフォートゾーンです。
ということは、コンフォートゾーンを決めるというのは、自分の可能性を限定するということです。年収1000万円だとしたら、年収1000万円以外の可能性をスコトーマにすることになります。
年収1億円でもいいかもしれないし、100万円でもいいかもしれません。しかし1000万円とわざわざ決めて、それに集中することになるのです。このコンフォートゾーンがあるからこそ、何をしたらいいのかがわかるようになります。
何でもあり、というのだと、何をしていいかわかりません。ゴール設定をしたけど、何をしていいかわからない、という人は、コンフォートゾーンができていません。だから、わからないのです。
ゴール達成するときも、この2つの構えを同時に持っていた方がいいのです。可能性を広げることと、集中することを使えるようになれば、現実も変わるし、さらに未来の開けていくようになります。
スコトーマを使った勉強
この考え方を勉強に応用すると、どうなるでしょうか。例えば、とにかく何でもいいから、たくさん知識を入れるとか、乱読する、というのは、可能性を広げる方に入ります。
自分が全然知らない分野について勉強したり、ランダムに本を選んだり、といったことをすると、スコトーマが外れて、新しい情報が入ってきやすくなるのです。
この場合、自分の判断を入れない、というがポイントです。たまたま目に入ってきたものとか、人が選んだものとか、偶然出会ったものなどに心を開いておくことで、自分が知らない世界に足を踏み入れることができます。
自分が知っていることとか、興味があることばかり情報を入れていると、視野が広がっているようで、実はだんだん視野が狭まってきてしまうのです。
わかりやすく言うと、右翼の人は右翼の情報しか入れないので、その世界には詳しくなりますが、左翼のことはどんどんわからなくなり、左翼と思っただけで拒否反応が出るようになります。
しかし、右翼の人も、左翼の情報を手に入れたら、世の中のことがもっと見えるようになったり、自分の活動に取り入れられることが発見できるでしょう。
自分の判断を外すことで、こうしたことが可能になります。
スコトーマを作る方法については、勉強する範囲を限定して集中する、ということです。
例えば、本は1冊で1まとまりの世界になっています。知識はバラバラで乱雑になっていると、引き出すことができません。しかし、まとまっていると使えるようになります。
まとまった知識があると、ナントカさんだったらこう考えるなとか、この本の内容から、セミナーを作ろう、という感じで、アイテムとして使うことができるのです。
重要な部分を切り取っておく、ということも使えます。それがあれば、何かの時に参照できたり、引用できたりします。
また、コーチングなら、コーチングで、ここまでやる、というふうに決めておくと、ある地点まで一気に身につけることが可能になります。そうすると、その分野の基礎になる部分が出来上がるのです。
これが、とにかく全部マスターしよう、というふうになると、どこまでやっていいのか、自分が何をしているのかがわからなくなります。情報量も一生かかっても処理できないくらいあるのです。
スコトーマをビジネス成功に使う
ビジネスについては、まず集中するということが大切です。というのも、ビジネスを起こす時は、たいていのものは集中しないとできないからです。
あれもいいし、これもいいし、とやっていると、どれも続かなくて、全部赤字、となる場合もあります。まず軌道に乗せるまでは、一つのビジネスに集中した方がいいのです。
サラリーマンをしているなら、なおのこと時間がないのですから、集中しなければ、やっていけないでしょう。ところが多くの人はこの集中ができないので、なかなかうまくいきません。
いいビジネスはないかな、といろんなお金儲けとか副業みたいなものを探して、あっちの方がいい、と目移りしてしまいます。つまづいたりすると、やっぱり向いていない、と思って変えてしまいます。
コーチングにおいても、コーチの資格があったらビジネスになると思っている人は、集客がちょっとできなくなると、これは儲からない、となってやめてしまいます。
本当は、なんでも深くやっていったら、ビジネスは原理は同じなので、他のこともできるようになるのです。コーチングでも、セッションができるようになり、セミナーができて、教材も作れるし、アフィリエイトや広告ビジネス、資格発行などもやることができます。
ですが、一つのビジネスを軌道に乗せられない限りは、どのビジネスでもやはり軌道に乗せることはできません。何かしら、自分が腰を据えて集中できるものを作る必要があるのです。
ビジネスの場合は、赤字か、黒字か、生活できるか、というラインがあるので、このラインを超えるには集中が大切になります。