自己成長厨にならないように注意しましょう。
自己成長厨とは、「自己成長すること」「進化すること」「自己変革すること」などが目的となっている人のことです。
自己成長を目的とすることは、コーチングと似ているようで別物です。その点を間違えてはいけません。
なぜなら、コーチングの目的は、「ゴールを設定し、達成する」ことだからです。目的地がないのにcoachすることはできません。
自己成長厨になってしまうと、
「成長した!」
「変革した!」
ということをもってよしとしてしまいます。ゴールを達成することよりも「これだけ成長した」「こんなに変革した」ということに意味を見出してしまうのです。でもそれでゴールが達成しなければ何の意味もありません。
そもそも成長とか進化というのは何を基準にしているのでしょうか?基準がなければ「進んだ」ということはできないはずです。たとえば、年収が増えたとしても、「資本主義の中で奴隷階級が高くなった」と解釈することも可能です。これを進化ということもできるし、言わないこともできます。
コンフォートゾーンをずらすことも、ゴールを見つけたり、達成したりするためにすることです。コンフォートゾーンをずらすことが目的化してしまったら、コーチングではありません。
私は「自己成長厨」にカルトの臭いすら感じます。なぜなら、「魂のステージを上げる」ことが目的化したカルトの構造と、自己成長厨の構造が似ているからです。その構造とはつまり「自己という絶対的なもの」が「カースト」を「上昇していく」ことです。
「上昇する絶対的自己」に「自己の永続性」が加われば、まさにカルトの危険思想となります。このように自己成長教とカルトの危険思想はごく近しいところにあるのです。自己成長教がカルトに変化したり、または自己成長厨がカルトに入信したりしても何ら不思議ではありません。「目と鼻の先」という感じです。
だいたい、「変革」とか言わなくても、私たちは常に同じ状態を保つことはできません。一瞬一瞬全く別の存在になっています。つまり「成長する自己」「上昇する自己」という絶対的なものは存在せず、ただ機能が変化するだけなのです。
ゴールを設定するということは、「新しい基準を作る」ということですから、今までの「上昇」がゴミクズのようなものに変わってしまうこともあり得ます。そんなとき「カーストの上昇を地道に積み重ねてきた」自己成長厨は後悔することになるでしょう。
自己成長厨の教えは、自己啓発や、コーチングらしきものの中で盛んに喧伝されています。「成長した!」「変革した!」ということばかり言う人がいたら注意してください。コーチングを実践する人が過ごすのは、「成長!」「変革!」が目的化した「修行の日々」ではなく、「ゴールに近づいていく毎日」なのです。
もちろんコーチングの過程でゴールに向かって成長したり自己変革したりということは起きます。でもそれはあくまでもゴールありきなのです。成長とか変革はその過程や手段に過ぎません。成長して嬉しいのは、ゴールに近づくからなのです。
コーチングにおける判断基準は「ゴール」です。もしゴールがなければゴールを見つけることが最初のゴールになります。ゴールを設定し、ゴールを基準にすることを忘れないようにしましょう。自己成長厨に陥りそうになっても、「それで、ゴールは?」と自分自身に問いかけてみるのです。
ちょっと難しい話になってしまったので、簡単にまとめましょう。
コーチングの目的は「自己成長」ではなく、「ゴール設定&達成」です。だから、自己成長を目的にするとおかしなことになります。それはカルト的な修行志向です。いつも自分のゴール(果たしたい機能)を意識して(そして無意識にセットして)、毎日を送ることを、コーチング実践者はもちろん全ての人におすすめいたします。
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