コラム

自分が死んだ夢

クライアントさんから、興味深いメールをいただきました。

その方は、自分はいつ出家しても、今自分が暮らしている日常に対して執着がないと思っていたそうです。身の周りの持ち物や、食べているもの人間関係などは、いつでも離れられると考えていたのです。

しかし、ある時、自分が死ぬ夢を見ました。雲の上に行って雲に空いた穴から、自分の死んだ体や自分の部屋を見たそうです。そうしたら、ものすごい執着心があることがわかったのです。

執着がないと思っていたものたちがなくなったら、すごく嫌だと思いました。死神が傍で、「下界を見てても寂しいだけだから、成仏して生まれ変わる道に行こう。」と言いました。

でもその時、見てるだけでいい。見て悲しんでるだけでいいと思いました。執着しないなんて、できないと思ったそうです。

私たちは、普段身の周りにあることや日常を当たり前のことだと思って意識しません。無くなってもいいものだと思っていることもあります。しかし、実は、今生きている世界全てに対して、執着心があるのです。

大した執着がないと思っている、自分の持ち物、人、食べ物なども、それらにもう二度と触れられないとしたら、嫌だし悲しい。最高に盛り上がったパーティーや祭りが終わる時の、いたたまれない寂しさに似ているのかも知れません。

その時間はもう二度と戻って来ないですから。

一時期「毒親」というのが流行っていて、親に敵対するような考えが蔓延していました。そうした人たちは、親から離れたい、いなくていいと思っていたことでしょう。そうした人たちであっても、実は親にものすごい執着心を持っています。

むしろ、執着心が強いと言えます。だからこそ離れられないのです。実際には、親自体に対しても、また親のせいにすることに対しても、強い執着があります。

それがなくなったらものすごく悲しいのです。だから、手放すことができません。また、日常がつまらなかったり、なんとも思わないという人で、いつでも捨てられると思っている人でも、その状態に対して執着心があります。

本当に執着心がなかったら、その状態を維持することはできません。もし、自分が生きている世界自体を失ったらと瞑想してみると、少なからずわかるかも知れません。

自分が死んだつもりになって、大切に思っているもの、思っていないものに自分が一切触れることができないと想像してみます。

私は、小学生1年生の時から大人になるまで持っていたハサミのことを思い出しました。金色地に黒文字で「いしきりやましんご」と印刷されたシールが貼ってありました。

そのハサミはずっと捨てられなかったのです。今はもうないので、そこに執着はないのだろうと思いました。しかし、それがもう二度と触れられないものだと思ったら、急にすごく悲しくなりました。もしそのハサミが戻ってきたら、宝物にするかも知れません(笑)

そんなものにさえ、いろいろな思い出や、執着があるのだなと気づきました。よく感謝することが大事だと言われますが、自分が認識している世界そのものの有り難みがわかると、自然にそうした心が現れてきます。

自己啓発では、現実の否定が重視される考え方がありますが、私は現実を受け入れることの方が大切だと思います。自分が選んでここにいるのだ、現実が有難いということを認識することからスタートするのです。

もちろん、辛いことや大変なこともあるでしょうが、それらもなくなったら悲しいのです。

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